AI技術で地形情報から畦畔の位置を自動判別する。
航空写真と精密標高データ(DEM)をAIに解析させ、水田圃場部分の水張領域と畦畔領域を自動で判別させ、水田の畦畔面積・傾斜角、農地に占める畦畔の割合を計測し、畦畔データ(座標付きポリゴンデータ)の作成に成功した。
傾斜地の多い中山間地域の水田では、平地と比べ畦畔斜面の面積や角度が大きくなる。こういった地域での畦畔農地情報は整備されてなく、畦畔管理にかかる費用の算出や実態の把握が困難なため、労働不可や管理コストを抑える方策が取りづらい。
畦畔の正確な地形情報を計測するため、信州大学農学部は地理情報システム(GIS)で畦畔ポリゴンと圃場ポリゴンを作成、長野県が作成した精密標高データと合わせて畦畔の面積・傾斜角、畦畔率の測定を開始したが、ポリゴンの作成は手動で行うため、多大な作業負荷が課題となった。
ポリゴン作成の作業負荷軽減のため、リクルートのアドバンスドテクノロジーラボと共同研究を開始。ディープラーニングを中心としたAI技術と画像処理技術の提供を受け、自動で水張領域と畦畔領域を判別し、それぞれの領域のポリゴンを自動生成するAIを開発。開発されたAIモデルは、無作為に抽出した1,308のデータを用いた実証で、97.7%の精度で特定農地区分を検知した。
今後はAIの精度を高め、県・市町村などと連携した「農地・畦畔見える化プロジェクト」の発展を目指す。
参考リンク:プレスリリース(リクルート)