子牛の血液1滴でAIが枝肉成績を予測。

肥育初期の子牛の血液1滴を調べるだけで、将来の枝肉重量や脂肪交雑基準(BMS)ナンバーなど7項目を予測できる技術を、世界で初めて近畿大学の研究グループが開発。

血液中には枝肉の形質に関わるタンパク質が含まれている。これまでにロースの大きさやサシの入り具合などに関係する複数のタンパク質が発見されている。
去勢した黒毛和牛を対象に、血液中に含まれるタンパク質135種類の含有量を基に、AIが枝肉重量、ロース芯面積、バラの厚さ、BMSナンバー、脂肪酸に占めるオレイン酸の割合、歩留まりの7項目を予測。予測結果は、早期出荷(24〜25ヵ月齢)と通常出荷(28〜30ヵ月齢)の2つのケースに分けて算出される。
予測は血液1滴でできるため、採血による牛への負担は少ない。ただ、予測精度を高めるため、9ヵ月齢以降で期間を空け、2回の採血が必要となる。
予測精度は項目ごとにばらつきがあるが、最も精度が高い「バラの厚さ」で実際の枝肉成績との誤差が4%程度におさまっている。
予測結果によって個体ごとの弱点が事前に判別すれば、飼料管理などで改善することも可能になり、効率的に枝肉成績を高められる可能性がある。
今後は大学発のベンチャー企業を立ち上げ、数年以内に事業化を目指す。