天敵を呼ぶにおい成分を合成することで、新しい害虫防除法の実験が成功。
害虫によって食害を受けた植物が出すにおいの成分を使って天敵を呼び寄せる、
新たな害虫管理の可能性が見えてきた。
害虫の食害を受けた植物は、寄生蜂や捕食者など害虫の天敵を呼び寄せるにおいをブレンドし、放出する。呼び寄せられた天敵により、害虫が捕食・寄生されることで食害が低減される。この仕組みを人工的に合成し、害虫防除法として使う実験が名城大学・農研機構などによる研究チームによって害虫の発生を抑えることに世界で初めて成功。
実験にはハウス栽培のミズナを使用。アブラナ科の害虫「コナガ」に食害された際に放出されるにおいの成分のうち、4成分を合成、天敵誘引成分としてハウスに設置。コナガの天敵「コナガサムライコマユバチ」を呼び寄せることに成功した。コナガサムライコマユバチは幼虫期にコナガの幼虫に寄生し成長するが、成虫は蜜を餌とするため、ハウス内に天敵給餌器を設置した。これら誘引成分と給餌器を設置したハウスでは、未設置のハウスに比べてコナガの発生を抑制することができた。
におい合成による天敵誘引手法は、アザミウマ類、ハダニ類、アブラムシ類などの害虫にも使えるため、これらの害虫防除への応用が期待される。
参考リンク:名城大学