気候温暖化によるリンゴ着色不良対策に、新たな窒素施肥基準を公開。

リンゴの果皮を赤くする色素のアントシアニンは、果皮が着色される時期の気温が摂氏15〜20度の間にないと合成が進まない。「ふじ」の場合、8月から収穫までの気温が高いほど着色不良が生じる。また、窒素肥料の施肥量が多いと着色不良になることも知られている。農研機構は、近年の気候温暖化により、リンゴ生産地域で懸念される着色不良の増加に対応し、将来的に気温が2度上昇した場合でも着色不良リンゴを2分の1以下にできる新たな窒素施肥法を研究。窒素施肥試験は、年平均気温が3度以上異なる青森県、秋田県、長野県、茨城県の試験地で実施。5年分の試験データを蓄積。結果と過去の知見を総合し「わい化栽培のリンゴ『ふじ』における着色向上のための窒素施肥マニュアル」として公開。
新たな基準では、施肥は4月に行い、過去10年の平均気温によって、11度未満の場合10aあたり6kg、11度以上13度未満で同3〜6kg、13度以上で0〜3kgと施肥量を変える。7、8月には樹勢を診断、樹勢が弱い場合には追肥や翌年に増肥/強い場合には翌年の施肥量を減らす。
マニュアルでは他に施肥量と果実品質、収量の関係や貯蔵性、生理障害への影響なども記載。

参考リンク:農研機構