21世紀末の地球温暖化の経済的被害、最悪な場合、世界で10兆円前後に。

国立環境研究所、農研機構らの研究グループは、パリ協定で定めた2℃目標を含む複数の異なる温室効果ガス排出の将来見通し、並びに異なる人口やGDPといった社会経済の将来状況の仮定の下での大規模なシミュレーションを実施し、地球温暖化によって生じる経済的な被害額の推計を行い、論文として公表。
最も悲観的な仮定では、21世紀末における地球温暖化による被害額は世界全体のＧＤＰの3.9～8.6％に相当すると推計された。一方、パリ協定の２℃目標を達成し、かつ、地域間の経済的な格差等が改善された場合には被害額は世界全体のＧＤＰの0.4～1.2％に抑えられるという推計結果になった。
また、特に開発途上国においては社会経済状況の改善が被害額（対ＧＤＰ比）を小さく抑える効果があることも分かった。
これらの結果は、温室効果ガスの排出削減等の地球温暖化対策の取り方や社会経済状況の変化といった、我々人類が選択するものが将来の地球温暖化によって生じる被害の大きさに対して、大きな影響力を持つことを示唆している。