地球温暖化の加速で飢餓リスク人口が増加する。
地球温暖化による気候変動の影響で、世界全体の飢餓リスクが将来どれだけ増えるか、それに備える食料備蓄の追加がどの程度必要になるか、研究グループが算定し、結果を発表。
将来予測の算定には、将来の人口とGDPを入力し気候や食料需給、温室効果ガス排出量/削減量などを推計する統合評価モデル「アジア太平洋統合評価モデル(AIM)」と、気候条件や経済条件を入力し、作物収量を計算する作物モデル「PRYSBI2」を使用。飢餓リスクに陥る人口の計算は、作物収量の変化で起こる価格変化と、対する消費者の対応から計算される食料消費量を基とした。
推計では、温暖化対策を行わなかった場合と、最大限行った場合とで計算。対策なしでは4億4,000万人、対策ありでも4億人が飢餓リスクに陥る。また、2050年時点で100年に1度の非常に強い不作が発生した場合には、対策なしで6億人、対策ありでも5億3,00万人に増加すると推計。
100年に1度の不作で増える飢餓リスク人口を避けるために必要となる追加の食料備蓄は、温暖化対策なしの場合で1億8,000万tの穀物(金額換算で約3兆8,000億円相当)に達する。これは現在の世界の穀物備蓄の4分の1に相当。また、南アジアでは現在の備蓄の3倍に相当する。
これらの結果から、今後国際協調などで温暖化に適応していくことが重要であると考えられる。
参考リンク:京都大学