温州ミカンの糖度をAIで予測する手法を開発。
品質の高い温州ミカンを生産するためには、摘果や水管理、施肥などの管理が重要。その年のミカンの糖度をできるだけ早い時期に予測することができれば、それらを適切に行うのに大いに役立つ。この糖度予想にAIを利用する手法を、農研機構と長崎県などが共同で開発。
収穫されたミカンは、出荷時に光センサーを使用して果実の糖度・酸度を全数検査する。蓄積された膨大なデータのうち前年度のものと、当年の気温・降水量・日射量・日照時間などの気象データをAIに入力し、糖度を出力。AIには前年度までに蓄積されたデータを機械学習で取り込む。学習用データの選択で品種や熟期ごとの予測も可能。
ミカンの糖度を上げるために概ね7月頃に乾燥ストレス付与を開始するが、この時点で出荷時の糖度が予測できれば、ストレスの強度や付与時期を調節し高糖度果実の生産が可能となる。
年ごとに出荷時の果実データが追加されるため、予測精度の向上が見込まれる。また、温暖化の影響や管理技術の変遷もAIに学習させることで精度の維持が可能。
この技術の実用化によって、ミカンの品質向上と生産安定を図る管理に活用できるものと期待される。今後はこの予測手法をシステム化することで、高品質のミカン生産と生産者の収益向上を目指す。