ミツバチのウイルス感染率99%、全国調査で判明。

ミツバチの役割は、はちみつの供給だけでなく、様々な農作物が受粉するための花粉媒介サービスの提供がある。近年、全国各地でミツバチの減少が発生しているが、農薬やダニによるもののほか、ミツバチへのウイルス感染も大きな原因として挙げられる。この実態を把握するため日本養蜂協会は全国規模でのウイルス病感染の実態調査を行った。
ミツバチが感染するウイルスには、
(1)幼虫に感染すると前蛹期に袋状になり死亡する「サックブルードウイルス」、
(2)ミツバチヘギイタダニが媒介し働きバチに感染すると体毛が抜け落ち、体や羽を痙攣させ数日で死亡する「急性麻痺病ウイルス」「カシミール蜂ウイルス」「イスラエル急性麻痺ウイルス」/慢性麻痺ウイルス症の原因となる「慢性麻痺ウイルス」、
(3)その他、女王蜂の幼虫や蛹に感染する「黒色女王蜂児病ウイルス」/ミツバチヘギイタダニが媒介し羽化したハチの羽が縮む「チジレバネウイルス」がある。
調査はこれら7種のウイルスを対象に、全国から92群のミツバチサンプルを回収して実施。62%の群に複数種類のウイルス感染を確認。37%の群はチジレバネウイルスに感染していた。ウイルスに感染していない群は1群のみという結果となった。
ミツバチヘギイタダニが各種ウイルスを媒介することはすでに知られているが、調査ではダニの寄生によるウイルスの感染率には差がみられず、ダニとウイルス感染の関係を突き止めるには、より詳細な調査が必要。また、健康なミツバチにもウイルスが広く感染していることから、ウイルスと疾病との関連の検討が今後の課題となる。