汚泥リン回収新技術の実証自治体を公募。

肥料の原料となるリンを下水汚泥から回収する新技術を考案・実証する事業の公募が始まる。
実証を通じ、リン回収施設のコスト、回収リン成分のばらつきといった課題の解決に向けた技術開発・普及を推進する。

下水汚泥の肥料利用の促進のため、国土交通省は2022年度補正予算で29億7,900万円を計上。うち25億1,400万円を下水道事業調査費にあてる。実証事業のほか汚泥の肥料利用を新たに検討または拡大を目指す自治体に対して汚泥肥料の成分・効果の検証や汚泥肥料の流通経路の確保に向けたマッチングなどを実施する。
下水道汚泥からリンを回収している自治体は島根県、神戸市など1県4市の計6施設のみ。建設費(平均10億円)や維持費の高さから、多くの自治体が諦めているのが現状。このため、抽出リンの貯蔵槽や乾燥設備の小型化、8割が限界とされているリン回収率の向上などを想定した、既存施設を生かすアイディアの考案を募る。
リン酸アンモニウムは、需要のほぼ全量である約47万tを輸入に頼っている。年間の下水汚泥230万tには、推定5万tのリンが含まれており、全量を回収することができれば輸入量の1割を自給できるが、現状の回収量は180tにとどまっている。

参考リンク:下水道革新的技術実証事業(国土交通省)