下水汚泥からリンを抽出、肥料の原料に。
窒素、カリウムと並ぶ肥料の三大要素のひとつで、食糧生産において必要不可欠な資源「リン」。そのほぼ全量を輸入に頼っているが、リンは下水処理で発生する汚泥に大量に含まれている。ここに着目し、汚泥からリンを抽出し、肥料化が実用化されてきている。
神戸市の東灘処理場では、2013年に汚泥からリンを取り出す施設を国内で初めて整備し、肥料化の研究を進めた。翌2014年にはリンを豊富に含む肥料「こうべ再生リン」が完成。肥料メーカーに原料として供給を開始した。また、農家向けに窒素やカリウムなどを加えた野菜用と水稲用の配合飼料も製作。JAでの販売も行っている。使用量は年々増加し、神戸市内の農家200戸以上が、キャベツやスイートコーン、米などの生産に用いている。
2020年には、個人向けに小分けでの販売も実施。成分量はリン20%、窒素4%、マグネシウム11.5%。イネ科や花をつける植物などの生育に追肥として使用するのに向いたもの。販売は東灘処理場に併設された情報発信施設「下水道の歩み館」で、カプセルトイで販売。また、学術研究や商品開発向けには無償でサンプル提供もしている。
参考リンク:神戸市