調合油乳剤に苗を漬ける、新たなイチゴのハダニ対策。

多くの薬剤抵抗性を持つナミハダニ対策として、調合油乳剤に苗を浸す新たな防除法が福岡県農林業総合試験場によって開発された。
抵抗性の発達リスクがほとんどなく、成虫だけでなく殺卵効果も確認されている。

調合油乳剤は、ハダニ類の体にかかると油膜が気門を覆い、窒息させることで駆除する。イチゴではハダニ類やうどんこ病などに登録があり、有機JASでも使用が可能。発売当初は散布のみだったが、2020年にはハダニ類に対する苗の浸漬処理での登録が追加されている。
2017年のあまおうの苗を使った浸漬実証では、バケツに薬液をため、苗を逆さにして浸す方法をとった。9月に定植し、ハダニ類の天敵農薬「ミヤコカブリダニ剤」と「チリカブリダニ剤」を主体に防除したところ、2月下旬までナミハダニの数は低く維持することができた。
2022年は培土ごと浸す実証を行なった。茎葉だけ浸す方法より作業時間は短くなり、10a分の苗約6,500本で約50分と試算。プラスチックコンテナに詰めた苗24本を、薬液をためた衣装ケースに浸した後ハウスに定植。こちらも、何も対策しない場合に比べ大幅にナミハナダニが少なくなった。

参考リンク:九州病害虫研究会報(J-STAGE)