RNA農薬で害虫の食害を即効で抑える研究に成果。

従来の農薬に比べて環境負荷が少なく、狙った害虫の食害を即効で抑えて薬物耐性も現れないと期待されるRNA干渉(RNAi)法を利用した防除法(RNA農薬)。実証実験ではジャガイモの害虫「ニジュウヤホシテントウ」を投与から1日で食害を抑え、1週間以内にすべて駆除することができた。今後は作用メカニズムを詳しく研究し、特異性や安定性を検証する。

RNAiとは、体内でタンパク質を作る際に遺伝子の情報を写しとり伝令役となるRNAと結合する人工RNAを投与し、遺伝子の発現を邪魔する技術。遺伝子組換えを行わなくても、狙った遺伝子の働きを抑えることが可能。
基礎生物学研究所と中部大学、名古屋大学、国立遺伝学研究所の研究チームは、細胞が自死(アポトーシス)するのを阻害する遺伝子を標的にし、それと結合する人工RNAを合成、ニジュウヤホシテントウの幼虫に飲ませ、ジャガイモの葉を与えた。幼虫は24時間以内に葉を食べるのを止め、3日後から死に始め6日以内に全てが死んだ。人工RNAを与えないと、葉を食べ続け10日後には蛹になる。実験では、ナミテントウとフタホシコオロギにも同じ人工RNAを与えたが、全ての虫が生き残った。このことから、生物の種類ごとに特異性があることが分かった。
今後は、他の害虫の研究も視野に入れ、特異性や安定性を検証していく。

参考リンク:基礎生物学研究所