既存の化学農薬に比べ安全性が高いと期待されるRNA農薬。2030年頃までに実用化の可能性。
RNA干渉(RNAi)法を利用した防除法(RNA農薬)は、農作物を食害する農業害虫だけでなく、衛生害虫や外来種など多岐にわたる害虫防除への応用が可能。今後はリスク評価やガイダンスの策定と、それにともなう国際的な規制の成立が必要となる。現在OECD会議でこれらが話し合われており、2030年頃には実用化が期待されている。
二本鎖RNAを害虫に投与しRNAiを誘導することで、害虫内の遺伝子の機能を阻害して駆除を目指すRNA農薬。駆除対象の害虫の特性に応じた遺伝子を発見・利用することで、対象害虫のみを防除することができる。また、RNA農薬で使われる人工遺伝子は体内の物質と同等で、RNAiを引き起こすかどうかは生物の種類によって異なる。狙った害虫だけに効果を起こすことができ、他の動植物に影響を与えにくいため、従来の化学農薬に比べて安全性が高い。また、化学農薬と違い耐性をもった害虫が現れにくいと見込まれている。
実用化に向けては、認可のための法整備が必要。国際的には2019年に経済協力開発機構(OECD)によりRNA農薬実用化のガイドライン策定会議が開かれている。規制のあり方についてはこれから議論されることになるが、2030年頃までに実用化される見通し。