「不知火」のかいよう性虎斑症(かいようせいこはんしょう)を抑制する技術をマニュアル化。

かんきつ類の果皮の一部が陥没し、茶褐色に変化する虎斑症。樹上や貯蔵中に起こるこの生理障害は、特に中晩柑「不知火」での発生が見られ、産地の熊本県では2013年に生産量の30%に発生し、商品性の低下が課題。虎斑症は土壌の乾燥が原因と考えられ、温暖化の進行で降雨が極端になると発生が増えると懸念されている。農研機構果樹茶業研究部門と熊本県農業研究センターは、この不知火の虎斑症発生を抑制する技術を確立し、生産者や指導者向けにマニュアルを作成。
夏から秋にかけて適切な土壌水分を維持することで樹体に乾燥ストレスを与え過ぎず、また適切な施肥管理と収穫後に貯蔵庫の相対湿度を高く維持することで、被害を低減できる。
・かん水は梅雨明け〜10月末まで成木1本あたり1回100リットルが目安。土壌水分計のPFメーターを使う場合は値が2.4以上、土壌水分目視計は水位の低下が1日あたり1センチ以上でかん水する。また、マルチシートを被覆することで土壌水分の蒸発を抑制する。
・施肥は9月に行う。これは、果実発生期に肥料が切れると果皮が弱くなり、発生しやすくなるため。
・収穫後の貯蔵庫は、庫内温度5〜8℃、相対湿度を85〜90%にする。これは、果実をポリエチレンフィルムで個別包装や、コンテナ全体のシート被覆、貯蔵庫内の加湿が有効。試験では、無処理の場合39%発生したのに対し、個別包装の場合はゼロにすることができた。
マニュアルには、他に温暖化による温州ミカンの花芽増加と調整技術もあわせて掲載。閲覧、入手は同機構のホームページで可能。