柿、野生の蜂だけで十分な着果。
柿の花粉媒介に野生昆虫のコマルハナバチが大きく関わっていることが、農研機構の研究で明らかになった。野生の花粉媒介昆虫の働きを把握することで、地域ごとにセイヨウミツバチの巣箱数を必要な数のみに抑えることができ、省力化やコストの削減につなげることが期待される。
柿の生産量の多い県から10県の園地(福島県、茨城県、静岡県、岐阜県、和歌山県、香川県、広島県、島根県、福岡県、熊本県)で、甘柿の主要品種「富有」に訪れる昆虫の種類と回数を調査。園地によって割合は異なるものの、セイヨウミツバチとコマルハナバチが9割以上を占めた。調査した園地で唯一セイヨウミツバチの巣箱を設置した茨城県では、9割がコマルハナバチだった園地もあった。
コマルハナバチが花粉を運ぶ効率はセイヨウミツバチと遜色がなく、1回花を訪れると着果率は50%に上昇しており、コマルハナバチ、セイヨウミツバチどちらでも花を複数回訪れれば十分な着果が期待できる。
柿のほかカボチャや梨でも地域によっては野生の昆虫を花粉の媒介に利用できることも判明。今後は柿とカボチャで飛来数と受粉量の関係を調査する。
参考リンク:プレスリリース(農研機構)