ゲットウに高い抗ウイルス効果。幅広いウイルス対策への応用が期待。
世界の作物生産額の15%は病害で損なわれ、うち植物ウイルス病感染による世界の作物生産損失額は年間6兆円超、日本国内で年間1,000億円の損失。植物ウイルス病には特効薬となる化学農薬がなく、媒介する害虫の防除、環境制御、抵抗性品種の利用などで被害軽減させている。岡山県生物科学研究所と東京大学の研究グループは、ゲットウ(月桃)にトマトやナスなどの成長を阻害する植物ウイルス病を防ぐ成分があることを突き止めた。
ゲットウ(月桃)は熱帯から亜熱帯のアジアに分布するショウガ科の多年草。この茎や葉から抽出した成分は、トマトの重要病害「トマトモザイクウイルス(ToMV)」、ナス科植物に感染する「タバコモザイクウイルス(TMV)」などを防ぐ性質があることが判明。また、A型インフルエンザウイルスとゲットウから抽出した抗ウイルス成分を混ぜ、犬の細胞に感染させる実験では、ほぼ100%ウイルスを抑えることに成功。
今後は抗ウイルス成分を使った農薬の実用化を急ぐとともに、幅広いウイルスへの応用が見込めるため、鳥インフルエンザや豚コレラなどのウイルスへの研究を推進する。
参考リンク:岡山県