貯蔵中のリンゴ「ふじ」の内部褐変を80.2%の高確率で、1か月前に発生予測。
長期保存する「ふじ」は、選果場で近赤外糖度センサーを用いて内部褐変(果肉が茶色く変色すること)がないかを確認し、貯蔵する。ところが、貯蔵中にも内部褐変が発生し、これが販売後クレームの原因となる。これまでは、発生の要因は解明できておらず、効果的な対策もなかった。
この「ふじ」の内部褐変の発生を、1ヶ月前に高確率で予測する技術を、農研機構が開発。これは、近赤外糖度センサーで計測された光の波長の分布の違いを利用し発生を予測する。
実験では秋の収穫後に冷蔵保管していた「ふじ」を翌年4〜6月に測定。1ヶ月後の内部褐変発生の予測を80.2%の高確率で行うことができた。
この技術は、現段階ではなぜ違いが起こるのか、そのメカニズムは解明されていないが、近赤外糖度センサーは多くの選果場で導入されており、実用化されれば、褐変の恐れのある果実を出荷前に取り除き加工用に仕向けるなどができるようになる。また、この技術は「ふじ」以外の品種でも応用が可能とみられ、早期実用化のため精度を高める研究が進んでいる。