大豆の湿害を防ぐ、排水溝を掘りながら播種できる新工法。
大豆を播種する際に、同時に排水溝を掘る「一工程浅耕播種法」を農研機構が開発。
作業速度が速く、実証では従来の方法より、「播種時間を13%削減」、「10aあたりの収量を52%高く」なった。
大豆の収量を増やすためには、生育初期の湿害対策が重要になる。
これまで湿害対策として行われてきた逆転ロータリによる「耕うん同時畝立て播種法」は、播種速度が遅く、これを解消するために浅耕にすると、播種部分の土壌が不足するという問題があった。
新たに開発された耕法では、逆転ロータリの前に大型のサイドディスクを取り付け、畝の両側に排水用の溝を掘り、掘り上げた土壌を播種する部分に送ることにより均一な播種床が作られる。この耕法では普通耕播種より耕す深さが5cmほど浅くなる。また、排水溝によって、降雨後に溜まった余剰水が速やかに排水される。
実証は降水量の多かった2019〜2021年に福岡県で慣行播種法と比較する形で行われた。月1,000mmを超える降水量を記録した2021年8月に、地表面下5cmの土壌の含水率を測定すると、慣行播種では高い値で一定となり、葉の黄化が確認されたが、一工程浅耕播種法では含水率が高い期間が短く、葉の黄化が抑制された。
作業速度は慣行播種比で平均31%(0.8km/h)向上し作業時間は13%(10aあたり3.5分)短縮。また単収も35〜67%(平均52%)上回った。
今後は農機メーカーと協議を進め、市販化を目指す。
参考リンク:プレスリリース(農研機構)