シストセンチュウに抵抗性を持つ大豆を育成。
北東北ではダイズシストセンチュウに抵抗性を持たない品種と、寄生性が弱いレース3への抵抗性を持つ品種が栽培されているが、近年レース1が寄生することによる減収や小粒化が問題に。
レース1への抵抗性品種に取り組んでいる農研機構が新品種「リョウユウ(凌優)」を育成。
ダイズシストセンチュウは大豆の根に寄生し、卵が詰まった黄色いシスト(包嚢)を多数形成する。このシストは土壌中で数年以上生存し、翌年以降の病原となる。寄生性の違いから複数のレース(寄生型)に分類され、国内ではレース1、3、5の3種類が確認されている。
最も寄生性の弱いレース3に対しては、「リュウホウ」「ナンブシロメ」などの抵抗性品種があるが、レース1はそれらにも寄生できる。
「リョウユウ」は大粒で高品質の「おおすず」を交配元に使い、レース1、3への抵抗性を持つ品種などとの交配を重ねることで育成された。レース1、3双方に抵抗性を持ち、またダイズモザイクウイルス、ラッカセイわい化ウイルスへの抵抗性も持つ。レース1が発生している畑での栽培試験でも規制は確認できず、正常に育成できた。
「リョウユウ」は寒冷地での栽培に向き、成熟期は「やや早」の早生。草姿は「おおすず」に似ており、子実は「やや大」。豆腐、煮豆、赤色系味噌などの加工に適する。
参考リンク:プレスリリース(農研機構)