大豆収穫時のロスを減らせる「難裂莢性品種」(なんれっきょうせい)。
莢が弾けにくく、収穫時のロスを減らすことができる「難裂莢(れっきょう)性品種」の普及が進む。
従来品種に難裂莢性を付加した改良品種に関しては、同じ銘柄名で商品を販売できる制度があるため、円滑な切り替えが可能。
大豆は圃場で自然乾燥させるが、適期に収穫ができないと莢が弾け、子実がこぼれ落ちる場合があり、減収の主因のひとつとなる。
農研機構は、主要な大豆品種に莢が弾けにくい特性を入れて育成。収穫遅れ時の自然裂莢や、コンバイン収穫時の裂莢を減らすことで、実質的に収量を高めることができる。
難裂莢性品種で最も普及が進む2009年に育成された「里のほほえみ」は、東北、北陸、関東を中心に拡大。2022年の作付面積は1万3,600haで、大豆全体の9%を占める。
既存品種「フクユタカ」に難裂莢性遺伝子を取り入れて改良、愛知県などで普及が進む「フクユタカA1号」は、従来品種より収穫ロスが抑えられ、収量は13%向上。2022年の作付面積は3,900haとなり、2年間で3割の増加をしている。
難裂莢性品種の普及を後押しするのは、農産物検査法に基づく仕組みがある。異なる品種でも形質が似ていれば、同銘柄名での販売が可能。この仕組みでは「サチユタカ」と「サチユタカA1号」はどちらも「サチユタカ」として販売できる。
この制度、大豆では8道県の計12銘柄で活用されている。
参考リンク:農研機構