農業用トラクタで本暗渠と落水口を施工。
これまで重機を使って設置していた本暗渠や深い落水口を、農業用トラクタに取り付けて施工できる作業機が開発された。
麦類や大豆の安定生産や単収を向上するには、排水性の改善が課題となる。その対策としては本暗渠や深い落水口を作る方法があるが、設置には重機が必要。このため、三重県で生産者に対して行ったアンケートでは、本暗渠の機能が十分に発揮できている圃場は20%未満にとどまった。
三重県農業研究所が開発した農業用トラクタに取り付ける作業機は、長さ115cm、幅12.5cm、厚さ1.5cmの縦刃で土壌を切り、縦刃の先端についた「埋設ヘッド」で排水管を挟む。内径5〜15cmの排水管が設置できる見込みで、地表下60cmまでの深さで埋設可能。
30aの圃場で排水管を10メートル間隔で3本設置する試験では、トラクタのオペレータを含む2人の作業で作業時間は50分。同規模を重機で行った場合には、3人で3〜4日かかっていた。
落水口も法面を掘削せずに設置できるため、作業人数1人で7分。これも重機なら2人で1時間30分以上かかっていた。
従来に比べ時間や費用をかけずに圃場の排水性を改善できる作業機は、今後実用化に向け企業などに協力を呼びかけ、改良を進める。
参考リンク:三重県農業研究所