蜜入りリンゴの蜜形成の仕組み解明。

「ふじ」などのリンゴ果実にできる蜜の部分の形成と、芳香の仕組みを解明。リンゴ生産の工夫にもつながると期待される。

リンゴの蜜は、秋口に気温が下がると形成されるが、地球温暖化に伴い秋の気温が上昇し、果実内の蜜入りが不安定になることが懸念されている。また、蜜入りのメカニズムはこれまでいくつか提唱されているが、蜜部分で何が起こっているかの解明はされていなかった。
蜜入りリンゴと蜜のないリンゴの果実について、細胞内の圧力と詳しい成分を同時に分析する手法と、溶液の浸透圧を測る2種類の計測法を使って調べたところ、蜜入りリンゴは細胞内の圧力が外側から蜜の方向に向かって低くなっており、外側の圧力が僅かに低い蜜なしリンゴと逆になった。圧力の高い外側から内側に向かって水の流れが生じ、蜜や境界部分の細胞内で発酵代謝が著しく進む。この発酵代謝で香りを放つ揮発性物質のアルコール類やエステル類が蜜部分の細胞の隙間に高濃度にたまる。蜜部分の糖度は低くなっていた。
蜜部分が透き通って見える理由も、細胞の隙間に水やアルコールがたまり空気の層がなく、光が乱反射しないためだと判明。普通の果肉には空気の層があるため不透明に見える。
今後は蜜形成に至る変化などの研究データを蓄積し、温暖化環境課での蜜入りリンゴ安定生産のための技術開発につなげる。

参考リンク:プレスリリース(愛媛大学)