アンモニアを分解する微生物の効率を向上させる水酸化ナトリウム。

家畜糞尿による悪臭・水質汚濁などの問題が深刻化。臭いの主成分であるアンモニア脱臭技術として活性炭吸着法や薬液洗浄法があるが、よりコストの低いものとして硝化細菌を利用した生物脱臭法がある。

硝化細菌はpH=6.5〜8.5の中性付近で活動が活発になる。硝化細菌のアンモニア分解能力を利用した従来の生物脱臭技術では、アンモニアが亜硝酸イオン・硝酸イオンに分解され酸性が強くなると硝化細菌の活性が低下。一方アンモニアはアルカリ性のため、アンモニアが増えるとバランスが中性に戻り、再び硝化細菌が活性化する。このため全体の50%程度までしか分解することができなかった。そのため、生物脱臭装置から排出される水に未分解のアンモニアが含まれ、再び悪臭が発生してしまう。
そこで、脱臭装置内が酸性に傾いた際にアルカリ性の水酸化ナトリウムを添加することで、内部を中性に戻す。これにより理論的には硝化率を100%に高めることが可能で、実験においても硝化率53〜95%を記録。その効果が実証された。

参考リンク:NKK技報