牛白血病媒介するサシバエの天敵、国内で初めて確認。

牛の伝染病で有効な治療法やワクチンが存在しない「牛白血病」。サシバエなどの吸血昆虫がウイルスを媒介し、2019年には4,113頭の発生を数え、牛の監視伝染病の中では最も発生が多い。
九州大学の研究者がサシバエの天敵寄生蜂を国内で初めて発見した。

発見された寄生蜂は、コガネバチ科の寄生蜂「Spalangia cameroni(スパランギア・キャメローニ)」。コガネバチは家畜の糞尿や堆肥中に潜り込み、サシバエのさなぎを見つけ出して寄生する。海外では広く生息し、EUでは家畜のサシバエ対策として製品化もされている。
2018年、2019年の2年間、福岡県内の酪農家の敷地で寄生蜂が卵を産み付けたサシバエのさなぎ約2,000個を発見、羽化させ、初めて生息を確認。和名を「キャメロンコガネバチ」と名付けた。
現在のサシバエ対策は幼虫への脱皮阻害剤や成虫への殺虫剤散布、防虫ネットなど科学的・物理的な防除が中心。寄生蜂を使うことができれば、作業負担を低減でき、畜舎の規模にかかわらず対策を施しやすくなる。
今後は全国各地でこの種の寄生蜂を探し、地域的な特徴を解析。土着天敵としての活用を促したいとしている。