堆肥・化成、混合OK。肥料取締法改正案成立へ。

政府は、堆肥と化学肥料を配合した「混合肥料」の製造販売を認めるなどの「肥料取締法改正案」を衆院に提出、これにより堆肥と化学肥料を混合した新しい肥料の開発や利用が可能になり、農家は土づくりと施肥が一度にできる施肥作業の省力化や経費削減などが期待される。さらに農家が安心して肥料を活用できるよう、肥料原料として利用可能な食品残渣や汚泥から作るリン回収物など使える原料を規格としてリスト化する。
背景は、堆肥施用量の減少による地力低下への危機感。肥料需要の世界的な高まりでリン鉱石などの原料価格も不安定化。土壌改善と肥料の安定供給には、安価で国内調達できる家畜ふん堆肥や食品残渣など産業副産物を有効利用する意図がある。
ポイントは五つ。原料管理制度の導入では、食品製造残渣や汚泥から作るリン回収物など使える原料を、規格としてリスト化する。製造過程なども明文化して有害物質が混入しない管理を求める。肥料事業者には原料の種類や量の帳簿への記載・保管を義務付ける。
配合に関しては堆肥と化学肥料の混合肥料や土壌改良資材を配合した肥料を届け出で生産できるようにする。これまで、農家は堆肥と化学肥料を別々に購入し散布していた。混合肥料の開発で施肥回数の削減ができ、選択肢が増える。
堆肥は含有成分が不安定で、化学肥料との配合が原則認められていなかった。告示で最低限の成分濃度の規格を引き下げ、成分が少ない堆肥でも原料にしやすくする。
表示基準も整備する。成分量に加え「緩効性」など品質や機能の表示基準を設ける。
法改正での農家のメリットは低コストで土壌改善できるということ。
堆肥と化学肥料の混合肥料を使用して施肥を1回に集約すると、作業時間が従来の10a当たり1.4時間から0.2時間に短縮できるという。配合肥料に使う菜種油かすなどの有機質肥料を豚ぷん堆肥に置き換えると、費用を1~3割低減できるという試算もある。