スマート農業の普及の加速化に向けた国の取組が進む。

「食料・農業・農村白書」は、スマート農業の普及に必要な周辺環境の整備の動きが進展していることを報告。
2018年11月に準天頂衛星(特定の一地域の上空に長時間とどまる軌道をとる人工衛星)システムが4機体制で本格運用を開始し、より安定した測位情報が入手できるようになった。農業分野においてもこのシステムの活用が期待され、トラクタ等に後付け可能な小型で安価な専用受信機の開発も進められている。農業現場ではLPWA2という無線通信技術が注目されている。通信速度は遅いものの、低消費電力で広域通信が可能なことから、水田や施設園芸等の定期的なモニタリング等での活用が期待される。
ドローンについては航空法に基づく規制の対象になっているが、農用地においては補助者の配置や、周辺の有人機の監視を不要とすること等の見直し案を農林水産省と国土交通省が具体的に検討している。航空法上必要な許可・申請の手続は、農林水産省が登録した機関やドローンを扱う小売事業者やメーカーに代行することを促した。
「未来投資戦略2018」には、「世界トップレベルのスマート農業の実現」が盛り込まれ、「統合イノベーション戦略」では、特に取組を強化すべき分野として農業が挙げられた。両戦略において「2025年までに農業の担い手のほぼすべてがデータを活用した農業を実践」との目標が掲げられ、スマート農業の実現が重要な政策課題として位置付けられた。
スマート農業技術の低価格化に向けては、農業経営コストの低減等に資する農業機械を新たに製造するベンチャー企業は農林漁業成長化支援機構(A-FIVEエーファイブ)からの出資等を受けることが可能となった。
すでに農林水産省では、スマート農業の社会実装を強力に推進するため、技術ごとのロードマップや推進方策等を盛り込んだ「農業新技術の現場実装推進プログラム」も策定した。