2030年のスマート農業市場、ドローンは65億円規模。
富士経済がスマート農業関連の市場調査結果をまとめた。調査したのは農業のスマート化につながるモニタリング、センシング、ロボット、AI、IoTなど先進技術を用いた生産施設・プラントや装置、システム、サービスの関連市場。スマート農業関連市場全体では2030年には、1,074億円(2018年比53.9%増)になると予測。完全人工光型植物工場や植物育成用光源、栽培環境モニタリングシステム、農業用ロボットやドローンなどが、好調に伸びている。
特に注目される農業用ドローン市場は2030年には65億円、2018年比の5.4倍となる。規制緩和や安全面などでの課題解消により普及が進み、市場の拡大が予測される。
農薬・肥料散布代行サービスなど、農業用ドローン活用サービス市場は、2030年予測が、50億円と2018年比の25倍。現在、ドローンによる農薬・肥料散布に興味を持つ生産者は、自らオペレーター講習を受けて認定を取得し実施するケースが多いが、今後ドローンによる農薬・肥料散布の有用性への評価が高まれば、ドローンを所有するのではなく低コストでオペレーションの負担を軽減しながら、農業用ドローンを活用できる農薬・肥料散布代行サービスの利用も増加するとみられる。
また今後、ドローン本体の高機能化や搭載するカメラの高機能化、環境モニタリングシステムなど周辺システムとの連携やAI活用などによる分析技術の高度化が進むことで、ドローンによる圃場の空撮画像をもとにした圃場管理サービスや生育診断サービス、農薬散布を組み合わせたピンポイントの病害防除サービスなどが伸び、さらなる市場の拡大が予想される。
家畜の発情検知、分娩監視、健康状態・疫病監視をサポートするシステムとして普及が進む家畜モニタリングシステム市場は、2030年予測が56億円と2018年比の3.5倍。特に、中・大規模畜産農家や酪農家は、飼養頭数が多いため管理や作業負担の軽減ニーズが高く、投資力もあることから、システムの導入が進んでいる。小規模酪農家・畜産農家も飼養牛の高齢化が進み、事故の際の農場経営へのダメージも大きいことから管理や作業負担の軽減ニーズは高まっている。比較的安価なシステムも登場しているため徐々に導入例が増えており、今後は、価格の低下や、計測したバイタルデータの分析精度の向上などにより、さらに普及と予測。