サツマイモ青カビ病、軟腐病による輸送中の腐敗を防ぐ技術。
高品質で食味に優れる国産のサツマイモは近年輸出量が増加している。それに伴い、出荷段階ではなかった腐敗が、海上輸送中におきるケースが多発。そこで農研機構は、輸送中の腐敗発生の調査を実施し、あわせて腐敗防止方策の確立に取り組んだ。
サツマイモ輸送中の腐敗原因は主に軟腐病、そして青かび病の発生によるものだった。軟腐病、青かび病とも、主にイモの表面についた傷から病原菌が侵入して発病することが知られている。イモは出荷前、洗浄時のブラッシングや調整(根切)によって傷がつくが、輸出による海上輸送などのように、輸送期間が延びたことにより、傷が原因の腐敗事故が発生しやすくなったと考えられる。
イモの傷を治し病原菌の侵入を防ぐ技術としては、塊根を高温(33度以上)・高湿度(90〜99%)の環境に4日ほど置き、切り口や表皮の下にコルク層を形成させる「キュアリング」がある。実験では、洗浄・調整後にキュアリングを実施しないと軟腐病が100%発生したが、キュアリングをすると0%になった。輸送中の発生でもキュアリングの実施で軟腐病の発生は4.3%から0.6%に抑制された。ただし、青かび病に関してはキュアリングのみでは抑制効果が得られなかったため、包装資材の検討などによる別の方策が必要と考えられる。
今後は、研究成果を活用して腐敗防止方策を普及させ、輸出安定化につなげる。
参考リンク:プレスリリース(農研機構)