いもち病や暑さに強く倒伏しにくい、東北での直播向き米の新品種「しふくのみのり」。
農研機構は、東北地域向けに、倒伏しにくく暑さにも強い直播栽培向きの多収良食味水稲品種「しふくのみのり」を育成した。近年、調理された米を購入し家庭で食べる中食や外食向けの米(業務用米)の消費量は増加傾向にあり、低コストで栽培できる業務用米向け水稲品種の需要が高まる一方で、温暖化の進行に伴い、東北地域でも登熟期間中の高温による玄米外観品質の低下が問題となっていた。
これまでは、東北地域向けの業務用米に適した多収で良食味の水稲品種「萌えみのり」の作付けが拡がっていたが、「萌えみのり」は、いもち病や暑さに弱いという問題があった。そこで今回、いもち病や暑さにも強い東北地域向けの業務用米に適した水稲新品種「しふくのみのり」を開発した。
「しふくのみのり」は「萌えみのり」並みに倒伏に強く、直播栽培向きで、多収。育成地においての収量は標肥直播栽培で641kg/10a(「ひとめぼれ」より約1割多収)、多肥直播栽培754kg/10a(「ひとめぼれ」より約3割多収)。炊飯米の食味は「ひとめぼれ」と同等の美味しさ。これらの特長に加え、暑さ(登熟期間中の高温)に強く、いもち病と縞葉枯病にも強い。
業務用米に適した品種として、秋田県で2021年度に200haの作付けが計画されている。