農薬リスク。「生態リスク」20年間で大幅に減少。

1990年から2010年までの20年間で、主要な水稲用農薬による水生生物への「生態リスク」が大幅に減少。
水管理の徹底などによる農薬流出防止対策や、農薬メーカーによる低リスク農薬の開発、農薬登録制度の見直しなどが功を奏したと考えられる。

水田で使用された農薬が排水に伴い河川に流出した場合、水生生物への悪影響が懸念される。この悪影響の程度と発生可能性を「生態リスク」と定義。
農薬の有効成分換算の出荷量は1980年代をピークに減少しているが、有効成分の種類は増加し、農薬使用の少量多種類化が進んだ。そのため、これまで行われてきた個別農薬の生態リスクだけでなく、複数の農薬による複合リスクを評価する重要性が増してきた。
農研機構は、日本で使用されている主要な水稲用農薬67種による「生態リスク」を調査。
1990年から2010年まで5年ごとの推移を全国の河川350地点で評価、複数の農薬により影響を受ける生物種の割合を算出したところ、殺虫剤では23.6%から1.8%(減少率92.4%)、除草剤では16.2%から7.6%(減少率53.1%)と大幅な低減がみられた。
今後は、2010年以降の推移について評価するとともに、評価地点を全国に約2千数百ある環境基準点に拡張し、評価地点の実際の生物相を把握した上で評価結果の検証を行なっていく。

参考リンク:プレスリリース(農研機構)