使用制限なしでコナジラミ類の行動を阻み感染半分に。トマト黄化葉巻ウィルス防除に成果。

トマト黄化葉巻ウィルス(TYLCV)を媒介するコナジラミ類。この成虫の飛来や吸汁、交尾を阻害する薬剤による実証実験の成果が報告された。
アセチル化グリセドは、従来の殺虫剤と異なり、コナジラミの行動を阻害する。成分のグリセリン酢酸脂肪酸エステルは、食品添加物として日本や欧米各国で使用されているもの。使用回数に制限がなく、抵抗性の発生は確認されていない。また、訪花昆虫や点滴生物などにもほぼ影響がないとされる。
この薬剤はトマトの葉に散布すると、初期にはコナジラミ類成虫の忌避効果があり1週間以上は正常に吸汁しない。時間が経つにつれ忌避効果は下がるが、ウィルスに感染していないトマトの葉にあらかじめ散布することで感染を抑えることができる。
熊本や広島など9県30戸のトマト農家で実証実験が行われ、熊本県のトマト農家のハウスでは7〜12日間隔で5回の散布を行なった。この実証実験ではTYLCVの発生株率が散布しない場合と比べて2分の1になったと報告。
また、ウィルスに感染したトマトの葉に散布したところ、保毒虫の発生率が減少。このことから、ウィルス感染葉二よる二次感染の抑制も期待。