「顔認証」で牛の個体を識別する技術、実用化へ。

AI(人工知能)で牛の顔で個体を識別する飼養衛生管理の実用化に向けた研究が始まった。
スマートフォンなどを牛にかざすことで、出生地、病歴、投薬履歴などが瞬時に把握できる仕組みを目指す。

宮崎大学、株式会社デンサン、JA宮崎経済連、宮崎県の4者が研究コンソーシアムを形成。
これまでは、牛の耳につけたタグの10桁の番号をもとに、主に帳簿で情報を管理。タグが外れたり汚れて見づらかったりすると確認に手間がかかっていた。
実用化を目指すシステムでは、物を判別するAIを活用し、牛の額や目の周りの特徴に着目する。顔認証技術で牛の個体を識別し、子牛から成牛となるまでの情報と連携させる。スマートフォンやAR(拡張現実)グラスを通して牛を見ると、画面上で情報が確認できる。家畜伝染病の検査履歴や投薬履歴なども確認でき、衛生管理の効率化に役立つ。
識別は2メートル離れても可能で、牛と接触しなくても確認できるため、防疫の観点からも有効。
これまでは感染が疑われる場合、獣医師に現場で確認してもらう必要があったが、このシステムでは遠隔診療が可能になるため、迅速な初動対応が期待される。
研究では、2025年度末までに95%の個体認証率とアプリの開発を行い、総合防疫管理システムの構築を目指す。

参考リンク:ニュースリリース(宮崎大学)