海外への品種流出防止。知財保護支援のための民間新組織を公募。

農水省は、優良品種の流出が多発する昨今、品種開発者から権利を受託し、海外での育成者権の取得や保護、侵害対策を一元的に担う組織を設置する。無断栽培をなくすため、海外の生産者、特許事務所とも連携する。海外での農産物品種の知的財産保護の強化により、農産物の輸出拡大を後押しする。
イチゴやブドウなどの日本品種が中国や韓国で生産されている。同省の試算では、イチゴが韓国に流出したことで、5年間で最大220億円の損失が出ているという。
そうした事態を改善するため、海外での知的財産の対応を一元的に担う支援組織を民間から公募。経費などを助成する。2020年度予算の概算要求に、新規事業として「農業知的財産保護・活用支援事業」3億9,300万円を計上した。
支援組織は、種苗法に基づいて品種登録し、育成者権を得た人・組織から権利を受託。海外での育成者権取得などを担い、事務手続きを行う。一部の海外生産者には条件付きで「パートナー」として栽培を認める。日本に加えて、日本にとって有望な国・地域への輸出を原則禁じ、日本が出荷できない時期の棚確保に限って認める方針。周年供給を実現するため、パートナーは南半球の国を想定。