日本固有の稲から、茎を太く強くするゲノム領域が特定される。
台風やゲリラ豪雨などによりイネの倒伏被害が問題になっている。地球温暖化により、従来の台風を超えるスーパー台風の発生も増え、これらの台風に耐えられる倒伏しづらい新品種の開発が求められている。
これまで稲の倒伏を防ぐ品種改良では、人工交配で茎を短くする遺伝子を組み込み、イネの重心を下げる短稈品種に主眼をおいていたが、茎の短いイネは茎の強度低下や米の生産量に限界があるなどの欠点があった。
そこで、日本固有のイネを含む331品種のイネを用い、茎の太さや強度など特徴を調査したところ、固有品種には茎が細く弱いものから極めて太く強いものまで多種多様なイネが存在し、一般的に固有品種の方が、茎が太く強度が高いことが判明。また、品種改良により生み出された近代品種は茎が短くなるにしたがって強度は徐々に減少していった。
これら固有品種と近代品種の間でゲノムを比較したところ、固有品種は近代品種より茎を太く強度を増す効果を持つ遺伝子を有する割合が高く、これまで改良に利用されてこなかった茎の太さや強度を高める新たなゲノム領域が存在することが明らかになった。
これらの成果は、今後倒伏しにくいイネ新品種の開発だけでなく、小麦やトウモロコシなど他の作物への応用が期待される。
参考リンク:プレスリリース(東京農工大学)