エチレン（植物ホルモン）の常時監視を可能にした小型センサを開発。

エチレンは野菜や果物から放出されるガス分子状の植物ホルモン。野菜や果物の熟成を促進させる効果があるが、過剰に存在すると腐敗を進行させてしまう。物質・材料研究機構（NIMS）と産業技術総合研究所（産総研）は、エチレンを常時監視できる小型センサを開発。このセンサを用いてエチレンの濃度を常時モニタリングし、熟成の進行を予測することで、野菜や果物の最適な輸送・保存管理につなげる。
これまで市販されている小型センサの多くは、摂氏200〜300度の高温状態で駆動させる必要があり、またアルコールやメタンなどエチレン以外のガス分子にも反応するため、エチレンのみの検出が困難だった。開発されたセンサでは、まず触媒でエチレンのみをアセトアルデヒドに変換、アセトアルデヒドが試薬と反応して酸性ガスを発生、電極で酸性ガスを検出することでエチレンを検出。濃度0.1ppmのエチレンの検出に成功。キウイフルーツの追熟に用いられるエチレンの濃度（約10ppm）にも対応することが確認された。センサは室温付近の摂氏40度で駆動するため、低消費電力で動作可能。
エチレンの常時監視により、野菜や果物の食べごろの調整、フードロスの削減が可能になると期待。

参考リンク：産業技術総合研究所