桜や桃を食い荒らす外来害虫「クビアカツヤカミキリ」、全国に生息域を拡大中。
外来の害虫「クビアカツヤカミキリ」が全国に分布を広げている。「クビアカツヤカミキリ」の国内初発生は2012年だったが、年々活動域を広げ、2019年になってから新たに奈良県と三重県で初発生が確認され、計10都府県に拡大した。桃や梅、桜、スモモ、柿などを好み、この虫によって木は衰弱し、枯死することも。被害の拡大防止に向けて各地の行政は、生産者への周知と早期発見・捕獲を呼び掛けている。
「クビアカツヤカミキリ」の成虫は光沢がある黒色をしており、首が赤い。体長は2.5~4センチ。中国や朝鮮半島が原産で、幼虫が木の中に入り込み、内部を食い荒らす。2018年に特定外来生物に指定された。これまで栃木、群馬、埼玉、東京、愛知、三重、大阪、奈良、和歌山、徳島の10都府県で発生している。とくに被害が大きいのは徳島県の桃。
大阪府は被害対策の手引書を作成し、生産者や施設管理者に周知。農地だけを防除しても、公共施設や河川敷の桜が発生源となる恐れがあり、地域全体での防除が必要と、大阪府堺市は8月末まで、ホームページで「ハンター」を募った。「クビアカツヤカミキリ」を見つけ、写真を送った市民に抽選で記念品を贈呈した。
地域ぐるみの活動は栃木県足利市でも始まっている。今年から「クビアカみっけ隊」を発足。市民に発生状況の把握と捕殺に協力を求めた。群馬県館林市は撲滅プロジェクトとして、捕殺したクビアカツヤカミキリを持ち込むと、1匹当たり50円、または飲料水を贈る取り組みを始めた。
「クビアカツヤカミキリ」の成虫の活動時期は6~8月だが、それ以降も木の中の幼虫はフラス(ふんと木くずの混合物)を排出するため、これが目印となるので、発見しやすい。初期防除が最も効果的なので、フラス排出が盛んな夏~秋の見回りが重要。