2019年産、業務用多収米の生産は2割増。
良食味でありながら、「コシヒカリ」などのブランド米より1割程度以上収量性が高い外食・中食用業務米。農研機構や民間企業が開発した多収米の生産量が増加している。農水省発表の「令和元年産農産物検査結果(速報値)」によると、業務用多収性品種のうち主な20品種の2019年生産量は7万1,300tで、18年産より2割増、15年産の4.5倍の増加。業務用は未検査の取引もあるため、実際の生産量はさらに多くなる。
米価が堅調のため、業務用のニーズが高い値ごろな米の調達が難しいことが生産拡大の背景にある。収量が高ければ、値ごろな価格で販売でき、面積あたりの生産者手取りも確保できるため、全農や米卸は産地と連携し多収性品種の作付けを推進。業務用の契約栽培を拡大し外食産業に供給している。
品種別では新潟県、富山県などで生産の多い「あきだわら」が1万3,400tと最も多く、主に新潟県で生産される「つきあかり」が1万2,700t、宮城県、秋田県などで生産される「萌えみのり」が1万1,500tで続く。
業務用米の販売では、米卸などの流通業者が種子供給から販売まで一貫して取り組むケースが増加。種子を独占的に供給し、生産された米を買い取るなどの動きが出ている。