国連環境計画(UNEP)、2100年には気温3.2度上昇すると警告。

2020年12月9日に二酸化炭素排出量の削減目標と現状のギャップを示す「排出ギャップ報告書(Emissions Gap Report)」2020年版を発表。新型コロナウイルス感染拡大により二酸化炭素排出量は減少したものの、2100年には気温が3.2度上昇するペースで進んでいると警鐘を鳴らした。

2019年の二酸化炭素排出量は、土地利用変化(LUC:森林から牧草地への転換など人為的な土地管理の変化)分を含め過去最大の59.1Gt(591億t)。2020年はパンデミックによる経済活動の減衰のため前年比7%減の見通しだが、2050年までの温暖化に及ぼすインパクトとしては0.01%の上昇抑制にしかならない。
パンデミックからの経済復興で、気候変動を考慮に入れた「グリーンリカバリー」をUNEPは強く提言しており、各国の政策を考慮に入れると2030年の排出量は以前の予想値59Gtから25%削減の44Gtまで削減可能と強調。実行できれば2100年の気温上昇を2度未満に抑制する可能性は66%。一方現在のペースなら3.2度の上昇になるとしている。
各国政府のグリーンリカバリー予算額は極めて不十分とUNEPは警鐘を鳴らす。G20諸国のうち4分の1の政府はGDPの3%まで予算額を引き上げており、他国もそれに倣うよう促している。