トマトの重要病害(灰色かび病、苗立枯病、青枯病、斑葉細菌病)に抵抗性を持つトマトが作られた。

トマトの重要病害である灰色かび病、苗立枯病、青枯病、斑葉細菌病に強いトマトが、農研機構と岡山県農林水産総合センター生物化学研究所の共同研究によって作られた。

灰色かび病は灰色かび病菌(Botrytis cinerea)により、葉や果実に灰色のカビを生じさせる。苗立枯病は病原糸状菌のリゾクトニア菌(Rhizoctonia solani)とピシウム菌(Pythium vexans)により発芽不良や発芽後の立ち枯れを引き起こす。これまで灰色かび病に対して十分な抵抗性を持つトマトはなく、換気などの栽培管理や殺菌剤による防除に頼っていた。
同じく病原糸状菌が原因であるイネの紋枯病では、病害に強くなるイネの遺伝子「BSR2」が発見されている。遺伝子組換え技術によりBSR2をトマトに導入する実験をおこなったところ、灰色かび病と苗立枯病への抵抗性を持つことが分かった。同時に細菌病の青枯病、斑葉細菌病に対しても強くなることが分かった。
また、遺伝子組換えを行ったトマトは、元の品種と比べて果実の外観に大きな違いはなかった。
今後は、BSR2遺伝子によって病害に強くなる仕組みや、BSR2が生産する低分子化合物の同定をすることで、灰色かび病などの重要病害に有効な、新たな防除方法の開発を目指す。

参考リンク:農研機構