柿の全ゲノム配列を解読。性別決定遺伝子成立のメカニズムを解明。

世界で初めて「植物の性別」を決定する遺伝子が発見されるなど、作物の栽培・育種に重要な「性」の研究におけるパイオニア的存在である「柿」。この柿の野生種のひとつ「マメガキ」の全ゲノム配列が、岡山大学・カリフォルニア大学・かずさDNA研究所・京都大学の共同研究で解読され、カキ属植物が進化の中で経験した「全ゲノム倍化」の痕跡を発見。
ゲノム倍化は、一般的に遺伝子セットが増えることによって遺伝子の機能分化や新機能獲得が起こることが知られている。カキ属では、このゲノム倍化により積極的な適応進化としてメス化機能を獲得。さらに特異的な遺伝子重複によりオス化決定遺伝子が成立したことが示唆された。これらの解読結果は、本来性への関与を持たなかった遺伝子群がゲノム倍化/遺伝子重複により積極的に性決定機能を獲得するよう進化したことを示す。
柿の全ゲノム情報の解読により、柿果実の「渋み性」「形の多様性」「貯蔵性」などに対するゲノム情報からのアプローチが可能となる。今後、品種改良などにおける遺伝子マーカーとしての利用が期待される。