ウイルスを利用した果樹の開花技術を開発。

種子の発芽から初めて開花・結実するまで数年から十数年かかる果樹類。岩手大学では、りんごから分離された無害なウイルス(リンゴ小球型潜在ウイルス=ALSV)と、植物の開花を促進するフロリゲン(FT)遺伝子を組み合わせ、リンゴ・ナシの1世代を1年に短縮する技術開発に成功。
これは、発芽直後のリンゴ種子に、FT遺伝子を発現すると同時に開花を遅らせる遺伝子(TFL)を抑制するようデザインされたALSVベクターを感染させる、というもの。感染した種子は、約1ヶ月半で開花を始め、その後連続して開花する。この段階で受粉させると、果実が実り種子もできる。この方法で通常5〜10数年かかる開花までの期間を1年以内に短縮することができる。また、ALVSはこの方法で作られた種子由来の後代の苗からは除かれることも分かっている。
ALSVベクター技術を利用することで、リンゴ・ナシ・ブドウ・ミカンなどの果樹類では1世代を1年以内に短縮することができ、新品種開発の迅速化が可能となる。