シャインマスカットの果実品質低下回避の手法開発。
加温栽培の「シャインマスカット」で果実品質の低下を回避する技術を、岡山県農林水産総合センター農業研究所が開発。
「シャインマスカット」の加温栽培では、同一樹内でも開花の時期がばらつき、開花の早い花穂と遅いものとでは2週間の差が生じることがある。この開花のばらつきは、栽培管理が繁雑になるなど、栽培農家の作業管理に問題が生じるだけでなく、果実の品質を低下させる。
開花の早い花穂と標準的な開花の花穂との間には、品質に大きな差がないが、開花の遅い花穂は果粒量が小さく、果皮が茶色くなる「かすり症」の発生が明らかになった。同研究所では、12月下旬から保温し、1月下旬から6月中旬まで17℃で加温したハウスで開花時期と果実への影響を調べる実験を行った。その結果、満開日より5日早くに開花した花穂は果房と果粒の重量が最も大きく、逆に4日遅い遅延開花の花穂にはかすり症の発生が多く、果房の45.5%で果粒の半数以上に発生していた。このことから、開花の遅い花穂を摘花することで果粒肥大が良い果実の生産につながると分析。今後はこの結果の現場での普及を進め、果実品質の維持向上につなげていく。