共通した遺伝子がマメ科植物の根粒と側根の発達を制御することを発見。

基礎生物学研究所と理化学研究所、農業・食品産業技術総合研究機構などの研究チームは、マメ科植物の根粒共生における根粒の形成過程に、植物が一般的に持つ側根の形成メカニズムの一部が流用されていることを発見した。
すべての生物が生命を維持するために必須な成分である窒素は、一般に植物では硝酸塩やアンモニアなどの化合物として土壌から吸収する。一方、マメ科植物は、根粒と呼ばれる特殊な器官に窒素固定細菌を共生させていて、ほとんどの生物が利用できない空気中の窒素を栄養素として使うことができる。そのため、マメ科植物は窒素栄養素が乏しい痩せた土地でも生育が可能となる。
「根粒共生」は、非常に有用な形質だが、マメ科植物とマメ科に近縁な一部の植物だけでしか見られない現象。根粒共生に関わる遺伝子についての情報は蓄積されてきているが、マメ科植物の根粒共生の能力が進化の過程でどのように獲得されてきたのかは、解明されていなかった。研究チームはマメ科植物モデル植物のミヤコグサを用いて、側根の形成を制御する遺伝子として知られる「ASL18a」遺伝子が、他の根粒形成遺伝子と協調しながら根粒の発達を制御することを明らかにした。これは、マメ科植物の根粒共生の能力が、植物に一般的な既存のシステムを上手く取り入れながら獲得されてきたことを示している。