花成ホルモンが生殖細胞の破壊を抑制することを発見。
花成ホルモンの「フロリゲン」は、花形成の開始を司る分子であることは知られていたが、そのメカニズムはほとんど分かっていなかった。横浜市立大学の研究グループの研究により、フロリゲンが花の生殖細胞を形成するため遺伝子の転移による破壊を抑制していることが分かった。
植物の茎の先端には、「茎頂メリシステム」と呼ばれる直径50μmの微小組織があり、葉や茎など植物の地上部すべてを作り出す。葉で合成された花成ホルモン「フロリゲン」が、「茎頂メリシステム」に輸送され、到達すると花の形成が開始される。「フロリゲン」が到達し花の形成が行われる際、「茎頂メリシステム」の細胞内でどのような変化が起きているのか、その分子メカニズムは分かっていなかった。
「茎頂メリシステム」では、葉など他の器官と比べ遺伝子の機能をコントロールしたり、移動した先でDNAを壊す「トランスポゾン(動く遺伝子)」の活動を抑制する「DNAメチル化」という化学反応が高くなっており、「フロリゲン」が到達するとDNAメチル化が更に進むことが分かった。「茎頂メリシステム」のようなサイズが極小のため、これまで困難とされてきた器官でも、ゲノムの動きを解析できる基盤が整ってきたため解析が可能となった。この基盤を利用することで、花の形成などの謎の解明が進むことが期待される。
参考リンク:横浜市立大学