雑草から幅広く使える害虫駆除成分を抽出。

琉球大学の研究チームはキク科の植物の葉から病害虫の駆除に効果がある化学物質を発見。この化学物質は熱水処理などで簡単に抽出できる。土中に生息するセンチュウから葉を食べる昆虫まで、さまざまな病害虫に効果がある。この化学物質で既存の化学農薬による防除の一部を置き換えれば、環境に対して優しい農業の実現につながるとして企業と共同で早期実用化を目指している。
研究チームは内部で害虫を防ぐ化学物質を合成し蓄えていると思われる沖縄本島の農地周辺などで育つ雑草を調べ、その中から熱湯やエタノールなどを使って化学物質を取り出した抽出液の中から、病害虫に効果のあるものを探した。その結果、キク科の「アワユキセンダングサ」の葉の抽出液に効果が顕著なことを突き止めた。
実験の結果、土壌に生息して根に寄生するネコブセンチュウは、抽出液の中では体内組織が破壊されることが判明。ハスモンヨトウなど幼虫が葉を食害する昆虫の場合は、幼虫を寄せ付けない効果もあった。抽出液には病害虫への防除効果を持つ化学物質が3~4種類含まれ、混ざっているほうが単独成分より効果が高いこともわかった。
農場で散布しやすいように、抽出液の成分を固形化したり、シートに染み込ませた資材も試作している。これらが実用化すれば、複数の防除法や農薬を併用するこれまでの防除における補助的に散布していた農薬を、環境負担の低い農薬に置き換えられるとして期待されている。