有害化学物質・微生物の汚染の防止は、情報提供から。

「食料・農業・農村白書」では食品の安全性を高める活動についての報告があった。
食品の安全性向上には、科学的根拠に基づき、生産から消費までの流れの中の必要な場面で有害化学物質・微生物の汚染の防止や低減することが重要。
農水省は、農林水産物や食品、飼料中の有害化学物質や有害微生物の実態を調査している。2018年度は、ヒ素、鉛、ダイオキシン類、カンピロバクター、ノロウイルス等の危害要因について、食品や飼料中の汚染実態等を調査した。また、植物に含まれる天然毒素の一種である、ピロリジジンアルカロイド類の実態調査結果を公表し、はちみつと緑茶についてはピロリジジンアルカロイド類の濃度は低く、ふきとふきのとうについては伝統的に行われているあく抜きがピロリジジンアルカロイド類の低減にも有効である等の情報提供を行った。
さらに、加工食品中のアクリルアミド、しょうゆ中のヒスタミン及びスプラウトの微生物について調査。また、食品中のトランス脂肪酸に関する国内外の取組について農林水産省Webサイトの情報を充実させたほか、食中毒の発生を防止するため学校や保育園等でジャガイモを栽培するときの注意点をまとめた動画を配信するとともに、鶏肉の衛生管理に関するセミナーを開催した。
農薬は、人の健康や環境への影響等を評価して、安全と認められたものだけが登録され、使用が認められているが、農水省は、2016年に策定された「農業競争力強化プログラム」や、2017年8月に施行された農業競争力強化支援法に基づき、農薬取締制度の見直しを行い、2018年12月には農薬取締法が改正された。今後は、登録されている全ての農薬について、定期的に安全性を評価する再評価制度を導入する。また、安全性に関する情報について、毎年メーカーから報告を求め、国自らも継続的にモニタリングし、重要な知見が明らかになった場合には、随時登録の見直しを行うこととした。