カメムシは振動に反応する。薬剤使わぬ防除開発の第一歩に。

果樹害虫のチャバネアオカメムシが振動に反応し特定の行動をとることが農研機構の実験で判明。今後研究が進めば、人為的な振動でカメムシの行動を制御し追い払う物理的防除技術が開発されると期待される。

チャバネアオカメムシは柑橘類、リンゴ、ナシ、カキなどの果樹や、スギ、ヒノキなど針葉樹の害虫。防除には殺虫剤の散布が用いられるが、薬剤を使用しない物理的防除技術の開発ニーズが高まっている。
多くの昆虫が振動をコミュニケーションに利用していることから、カメムシに人為的な振動を与え、その行動を観察。150Hzや500Hzなどの低い周波数の振動に対して「停止する(立ち止まる)」「伏せる(腰を曲げ姿勢を低くする)」「歩き出す」「足踏みする(前脚を交互に上げ下げする)」という反応を示した。
このうち、停止する、伏せる反応は行動を抑制していると考えられ、果実被害をもたらす吸汁行動を阻害できる。また、歩き出す反応は、振動から逃げようと木から飛び去る(=追い払う)可能性が期待される。
今後は振動が樹や果実に与える影響を検証し、同時に振動装置の開発に取組む。

参考リンク:プレスリリース(森林総合研究所)