食料安全保障と食料自給率について考える。
新型コロナウイルスの世界的流行をきっかけに、世界では穀物などの輸出制限が行われるなど、食料をめぐる問題が表出してきた。食料を輸入に頼る国にとって、この問題を乗り切るために必要な方策とは。
日本の食料自給率は、カロリーベースと生産額ベースの2種類の算出基準を用いて計算され発表される。カロリーベースは、食品の栄養価(カロリー=熱量)に着目し、供給される熱量に対する国内生産の割合を示す。生産額ベースは、供給される食料の生産額に対する国内生産の割合を示すもの。2018年度はカロリーベースで37%、生産額ベースで66%。また、食料国産率はカロリーベースで46%、生産額ベースで69%、飼料自給率は25%となる。
品目別の自給率を見ると、カロリーベースでは米(97%)と野菜(75%)が高く、油脂類(3%)、小麦(14%)が低い。
野菜農家では、タネを自家採取し翌年の栽培に利用している率が7割を超えている。種苗法の改正が成立すれば、野菜農家が影響を受けることも懸念される。また、大規模農家が使う一代雑種(F1)の野菜は、毎年購入する種の約9割が国外で生産されているため、輸入が滞る事態となれば、自給率が大幅に減る事態もあり得る。
農家の担い手不足の問題もある。コロナウイルス流行により、ベトナムや中国などからの技能実習生が来日できず、労働力不足による収穫の遅れなどが各地で起きている。
国民を飢えさせないために、どうやって食料を安定的に確保するか。近年「食料安全保障」と呼ばれるこれらの問題の解決には、自給率の向上をこれまで以上に図るための施策が求められる。
参考リンク:農林水産省