食料安全保障と日本農業発展の鍵、農産物の貿易交渉。日本は18のEPA(経済連携協定)/FTA(自由貿易協定)を発効・署名済。

2001年に開始されたWTO(世界貿易機関)ドーハ・ラウンド交渉は、未だに、開発途上国と先進国の溝が埋まらず、農業については今後の交渉の進め方についても合意はできていない。この間、特定の国・地域間で貿易ルールを取り決めるEPA(経済連携協定)/FTA(自由貿易協定)の締結が世界的に進み、2018年12月時点で2000年当初に比べ3倍近くに増え、309件に達している。
日本は海外の成長市場の取り込みを図るため、戦略的かつスピード感を持ってEPA/FTA交渉を進め、2018年度末時点で、18のEPA/FTAが発効済・署名済となった。
TPP(環太平洋パートナーシップ)は、2016年2月に参加12か国が協定への署名を行ったが、アメリカの離脱表明を受け(2017年1月)、アメリカを除く11カ国により「TPP11協定」として早期発効を目指した。
「TPP11協定」は、2018年3月に協定への署名が行われ、同年12月30日に発効。重要5品目(米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物)を中心に国家貿易制度・枠外関税の維持、関税割当てやセーフガードの創設、関税削減期間の長期化等の有効な措置を獲得している。
また、輸入食品の安全について、科学的根拠に基づき必要な措置をとる権利が認められ、現行の日本の食品安全制度の変更は変えなくてよいこととなった。
TPP11参加国の対日関税は、農林水産物・食品の輸出拡大の重点品目(牛肉、米、水産物、茶等)のすべてについて関税撤廃を獲得し、輸出の拡大が期待される。
日とEUとの経済連携は、物品にかかる関税の削減・撤廃だけでなく、サービス貿易、投資自由化、知的財産権等の分野を対象に、2019年2月1日に経済連携が発効。世界人口の8.5%に相当する6億4千万人を抱え、世界のGDPシェアの27.7%に相当する22兆2千億ドルの経済圏が誕生した。