種苗法改正案 今国会成立見送り(2)

通常国会に提出されながらも成立せず、秋以降に持ち越しとなった種苗法の改正案。
改正案に対して浮上した疑問点とは何か?

改正案では特に「自家増殖の原則禁止(育成者権者の許諾が必要)」に関し「利用料の高騰などで農家の負担が増える可能性がある」などの反対意見が寄せられた。これに対し政府は、登録品種は全体の10%ほどなので影響は少ない。また、登録品種の育成権は多くが都道府県などの公的機関が有しており、利用料が大幅に上がるとは考えにくいとしている。
登録品種の比率は、農作物全体では10%程度だが、品種や地域によって大きくばらつきがある。例えば米は64%が登録品種で、地域で見ると青森県は99%、北海道では85%が登録品種で占められる。また、政府は公的機関が有する登録品種の育成者権を、民間に移譲するよう促しており、利用料が高騰する可能性がないとは言い切れない。
改正案ではまた、育成者権者が登録した「特性表」をもとに特性を比較して権利侵害を訴えることができるため、全く異なる出自や改良法を用いた別系統の品種であっても、登録品種と外見上の特性が一致した場合には「登録品種と同一と推定」するため、登録されていない一般品種を栽培している農家が権利侵害で訴えられる可能性があることも指摘されている。
政府は、秋の臨時国会での成立を目指すとしているが、国会審議において疑問点を洗い出し、丁寧に論議することが求められる。